アロニア
アロニア(バラ科の小果樹)は今から約40年前に北海道に導入されナナカマドに似ていることから「黒い実のナナカマド」とも言われている。寒冷地に適していること及び栽培が容易であることから北海道の一部で栽培がすすめられている。当初は防風林として利用されてきたが、アロニアの果実に紫色系色素であるアントシアニン系ポリフェノールが豊富に含まれていることから食品として新しく利用されるようになった。平成10年に日本で初めてアロニアのアイス(北海道の大滝村)が商品化され、次いでアロニアジャム等の一般食品に展開されるようになった。
これまでの研究成果では、アロニアの果実にはアントシアニンのみならず、フラボノイド系ポリフェノールや、β-クリプトキサンチンや食物繊維などの健康維持増進に寄与する成分が含まれていること、そしてそのフラボノイドがブルーベリーやブラックベリーに比較してより多く含まれていることが判明している。
フラボノイドは、ハーブなどに多く含まれているポリフェノールの一つで、抗酸化作用の他に活性酸素の生成を抑制すること、悪玉コレステロールであるLDLの酸化を抑制することが知られている。このようなことから、アロニア果実は健康に有用な成分を豊富に含み、生活習慣病の一因をなす活性酸素を抑制し、生体内において抗老化作用を示すことが期待できる。
アロニア果実の抗酸化作用
アロニアの抗酸化作用を、DPPH(1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl)ラジカル消去試験により、他のハーブ等と比較検討しました。各植物の抽出物は、70%メタノール抽出により得られた水溶性画分を濃縮し、Yamaguchiら1)の方法に従って、高速液体クロマトグラフィーによるDPPHラジカル消去能(517 nm)を指標に測定しました。
1)Yamaguchi et al., HPLC method for evaluation of the free-radical scavenging activity of foods by using 1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl. Biosci. Biotechnol. Biochem. 62, 1201-1204, 1998.
アロニア果実の含まれる総ポリフェノール量
各果実に含まれるポリフェノール量(100g当たり)をフォリンデニス法により比較しました。その結果、アロニア果実が最も多くのポリフェノールが含まれており、ブルーベリーの約2倍の値を示した。
アロニア果実の成分比較(100g当たり)
アロニア ハスカップ ブルーベリー
エネルギー 55Kcal 53Kcal 49Kcal
食物繊維 5.6g 2.1g 3.3g
たんぱく質 0.7g 0.7g 0.5g
脂質 0.1g 0.6g 0.1g
炭水化物 14.4g 12.8g 12.9g
灰分 0.4g 0.4g 0.1g
無機質 ナトリウム 3mg
カリウム 218mg 190mg 70mg
カルシウム 32mg 38mg 8mg
マグネシウム 16mg 11mg 5mg
リン 20mg
鉄 0.9mg 0.6mg 0.2mg
亜鉛 0.1mg
ビタミンA
α-カロチン 7.5μg
β-カロチン 771μg
β-クリプトキサンチン 463μg
ビタミンE 1.5mg 1.1mg 1.7mg
K 24mg 0mg 0mg
B1 0.02mg
B2 0.02mg
ナイアシン 0.3mg
B6 0.03mg
葉酸 3μg
パントテン酸 0.28mg
C 14mg 44mg 9mg
有機酸 クエン酸 0.2g 1.6g
リンゴ酸 1.3g 0.9g
総量 1.5g 2.5g
糖類 ソルビトール 1.9g
グルコース 1.2g
フルクトース 1.4g
総量 4.5g
ポリフェノール 748mg 700mg 400mg
アントシアニン 1185mg 495mg